1 |
| 学校前ちとせ・イチカ
| ちとせ・イチカ | 校舎に向かうふたり。自分をロボットだと言い張り馴れ馴れしく話し掛けてくるイチカに、ちとせは怯えの色を見せる。
| | 「知らないおかしい人がついてくる… 名前も把握されてる…」
|
|
2 |
| 学校(廊下)ちとせ・イチカ
| イチカ | 自分はお友達ロボットなのだと言って、ちとせに思い出せようとするイチカ。
| ちとせ | とりあえず話半分に受け入れたちとせだが、「おかしい人」という印象は変わらない。
| イチカ | 初対面なのに友達とアピールすることを訝しむちとせに、「友達ってプログラムされてるからね」
| ちとせ | そう聞いたちとせは「友達設定…」とどこか寂しそうに呟き、背を向ける。
|
|
3 |
イチカ | 学園デビューをノーパンで迎えるわけにはいかない。窮したイチカはちとせの父に連絡を取る。
| イチカ | 今すぐパンツを送るよう頼むイチカ。現物は送れないものの、代わりに映像をイチカの体に投影する機能があることを父に教えられる。
| 森繁父 | 父の返答は、現物は送れないものの、代わりに映像をイチカの体に投影する機能を使うといいというものだった。
| イチカ | 投影しようが、ノーパンであることには変わらない。しかし背に腹は替えられない。「うむむ…じゃあいいか…」
| イチカ | 担任の先生に促され、教室に入るイチカ。
|
|
4 |
| 1-B教室ちとせ・イチカ
| イチカ | イチカは少しはにかみながら、みんなの前で自己紹介する。その頭にはパンツが映し出されていた。
| イチカ | 「実はこう見えて私は…ロボットなんですっ」
| イチカ | そう言って微笑みかける笑顔は素敵だったが、客観的に見ればパンツを被った完全に頭おかしい子にしか見えない。
| イチカ | ざわめく教室内。イチカもようやく異変に気付くが、時既に遅しだった。
| イチカ | ポツンと座って黄昏れるイチカ。こんな痛すぎるコ、誰も相手にしてくれないのも無理はない。
| イチカ | 夢見ていた華々しい学園デビュー。それも幻に終わった。おまけにロボットだということすら信じてもらえなかった。
|
|
5 |
ちとせ・イチカ | イチカは気を取り直して、自分の友達はちとせだけで充分と笑いかける。しかし顔を背けるちとせ。さっ。
| うみこ | その時、「ちとせの友達」という言葉に反応して、ひとりの少女がクレームを付けてきた。
| うみこ | その少女の名前は戌井うみこ。同級生の女の子である。ちとせに友達なんて出来るわけないと糾弾する彼女に、イチカは憤慨する。
| ちとせ | 一方、ちとせはうみこの発言に怒るでもなく「あたしの勝ち」とつぶやく。
| うみこ | 何のことかと首を傾げるイチカに、うみこは高らかに言った。
| | 「どっちが先に友達出来るか対決よ!!」
|
|
6 |
うみこ | なんでも二人の対決は初等部入学時から続いているらしい。ゆえにちとせに容易に友達が出来るはずがないと言いたいようだ。
|
|
7 |
イチカ | うみこの言葉を聞いたイチカは、ロボットだと信じてくれたことに感激する。予想外の反応に戸惑ううみこ。
|
|
8 |
ちとせ | ちとせは突然大声を出して、うみこの言い分を否定した。
| | 彼女はいつも寝てるし 喋ってる所なんて見たこともないし」
| うみこ | その大声に林田さんが起きそうになって慌てふためくうみこ。
| ちとせ・イチカ | その様子を見たイチカは「可哀想だから負けてあげよ」と言うが、ちとせは頑として譲らなかった。かなり負けず嫌いな性格だったらしい。
|
|
9 |
イチカ | その間も言い争いを続けていたちとせたち。その流れで、ロボットなら温かいはずがないと、不意にイチカの手を握るちとせ。
| うみこ | その熱はうみこが言う通り、電気の熱だったのだが…。
| ちとせ・イチカ | はっとして握った手を離し、恥じらうようにうつむくちとせ。そんなちとせを見て、イチカは嬉しそうに照れ笑いする。
| | 「ウフフ…なんか暑くなってきちゃったな」
| イチカ | そのとき森繁父から連絡が入る。「温度が上昇しているから冷却ファンを作動させろ」。
|
|
10 |
イチカ | しかしイチカは知らなかったのだ。冷却ファンが設置されているのは、自分のお尻の上だということに。
| イチカ | 冷却ファンから勢いよく噴き出した風は、スカートの裾を舞い上がらせ、ノーパン状態のイチカの下半身を露わにする。
| ちとせ | それを目の当たりにしたちとせは、失望したように言った。
| ちとせ・イチカ | 人間だろうがロボットだろうがこの子は別に友達じゃなかったと。その宣告を受けたイチカは激しくショックを受ける。
| イチカ | 再び対決に戻ったちとせたちを背に、イチカは恥辱と悲嘆に打ち震えるのであった。
|
|