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| 6-3教室伊藤・加藤・佐藤
| 佐藤 | バレンタイン前日。周りに聞こえるように「ウィスキーボンボンが好き」だと独り言を言う佐藤。
| 佐藤 | それは暗にバレンタインチョコにはウィスキーボンボンが望ましい、という女子たちに向けたアピールであった。
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緒方 | チョコに注射器を差し込み、中身を抜き取る緒方。伊藤と加藤は「?」マークを頭に浮かべながらその様子を見守っていた。
| 緒方 | 緒方は得意げに「体の一部ボンボンせっけい図」を掲げて見せる。中身のウィスキーを抜き取って、代わりに自分の体の一部を封入しようというのだ。
| 加藤 | 緒方は佐藤のウィスキーボンボン好きを知らない。中身を入れ替えるのは無意味なことだと教えようとした加藤だが…。
| 伊藤 | 途中でその言葉を遮ったのが伊藤。例のごとく「ライバルは少ない方がいいと思わない?」と加藤を唆す。
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緒方 | ふたりきりになった緒方と加藤。緒方はチョコに封入するために自分の髪を切り始める。
| 加藤 | 一方、加藤の脳裏にはある懸念が思い浮かんでいた。
| 加藤 | 佐藤が毎年自分たちのチョコを受け取ってくれない理由。それは体の一部を入れているからなのではないかと。
| 加藤 | しかし緒方にその話をしても聞く耳持たずだろう。そこで加藤は緒方の目を盗んで切った髪の毛を奪い取り、隠すようにそっと後ろに捨てた。
| 緒方 | 髪の毛がなくなったことを訝しがる緒方。「あっ」と何かに気づいたようだ。バレたのかと身をすくめる加藤。
| 緒方 | しかし緒方は加藤の枕元のあたりに散らばった髪の毛を見て、「抜け毛ヤバくない!?」と思い掛けない反応をする。
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緒方・加藤 | その”抜け毛”の原因がストレスだと思った緒方は、ストレスは溜め込んじゃダメだと加藤の頭を撫でる。よしよし。
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加藤・緒方 | どの毛だろうがダメなものはダメなのだ。緒方を止めようとしどろもどろになりながら説得を試みる加藤。
| 加藤・緒方 | 「眉毛の生えてる女性が好き」→「だいたい生えてるわ」。
| 加藤・緒方 | 「まつ毛の生えてる女性が好き」→「それもだいたい生えてるわ」。
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加藤 | あわあわと慌てふためていた加藤はある物を見てハッとする。それは先ほど緒方が抜き取ったウィスキーが入ったカップであった。
| 緒方 | ほくほく顔で戻ってくる緒方。手にしたカップからは採り立ての体液が湯気を上げていた。
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緒方・加藤 | カップがすり替えられたとも気づかず、体液もといウィスキーをチョコに注入する緒方。
| 伊藤 | そこへ伊藤が肩を落として戻ってくる。ウィスキーボンボンは売り切れていたのだという。もにょり。
| 伊藤 | テーブルの下で湯気を上げるカップを見つけた伊藤は、あるアイデアを思い付いて顔を輝かせる。
| 伊藤 | ウィスキーボンボンが売ってないなら自分で作ればいいじゃない。チョコは手作りで用意し、ウィスキーはここにあるのを使えばいいという算段だ。
| 伊藤 | そうと決まればもう用済みだと言わんばかりに、ひとりカップを手に部屋を飛び出していく伊藤。中身が緒方の尿体液だとも知らずに。
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| 翌日・6-3教室緒方・佐藤・伊藤・加藤
| 佐藤 | バレンタイン当日。佐藤の前にチョコを手にした見慣れぬ美少女が現れる。
| 緒方 | 下ろした艶やかな黒髪、ふさふさとした眉毛、長いまつ毛。それは佐藤の好みに合わせてイメージチェンジした緒方であった。
| 緒方 | おずおずとした態度でチョコを手渡し、その美少女はバッと駆け去って行った。
| 千葉・田渕 | 男子たちもそれが緒方だとは気づかなかったようである。眉毛の様から吉岡の親戚説なども浮上していた。
| 佐藤 | そのチョコから漂うは微かなウィスキーの香り。間違いなく佐藤が待ち焦がれたウィスキーボンボンであった。
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