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| 広場三つ子・佐藤・千葉・しょうがない隊
| みつば | 焼きいもの袋を持ってやって来たみつば。
| みつば | 焼きいもを3個買ったら、おまけのおもちゃをくれたという。その戦隊物のおもちゃをひとはに渡す。
| ひとは | しかし受け取ったひとはの表情が険しくなる。またしてもパチモンだったのだ。
| みつば | みつば情報によると、焼きイモ屋の親父はこの町を離れるのだという。
| ひとは | それを聞いても興味なさそうなひとは。自分の分をと焼きいもの袋を開くが…。
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ひとは | 袋は空っぽだった。3個買ったはずの焼きいも。三つ子で1本ずつなのかと思いきや、うち2本はみつばの手にあった。ごく当たり前のように。
| 佐藤 | 焼きいもの代わりに、袋の中にレシートが残っていることに気が付く。
| ひとは | それはおもちゃ屋でガチレンフィギュアを購入したレシートであった。しかも数量限定のレアもの。途端に目を輝かせるひとは。
| ひとは | 一方でひとはは悟っていた。このレシートは焼きイモ屋からの挑戦状なのだと。
| | 道路ひとは・焼きイモ屋・ほか
| 焼きイモ屋 | いつものように道端でたばこを吹かす焼きイモ屋。そこに近づいてきた人影。
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3 |
焼きイモ屋・ひとは | その人影を認めた焼きイモ屋は呟く。「やはり…来たか…」
| 焼きイモ屋 | ギャンブルを巡る宿敵・ひとはに彼は語った。
| 焼きイモ屋 | これまで離れて暮らす娘を見守るべくこの町に留まってきたが、新たな生活を始めるために町を離れるつもりだと。
| ひとは | しかしひとはが興味あるのはそんな身の上話ではなく、おまけのおもちゃの方だった。勝手におまけの袋をあさり始める。
| | さらにイモの周りにわらわらと集まってきた、ふたばやしょうがない隊。
| ひとは | 「あれれ~? 計算が合いませんね」と小憎たらしい調子で、おまけと焼きいもの残りの数が合わないことを指摘するひとは。
| 焼きイモ屋 | しぶしぶ焼きいも2個でおまけを付けることを認める。
| ひとは | まずは交渉の第一段階は成功。「それが当然ですね」
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4 |
ふたば | あとはみんなでお金を出し合って買い占めるだけ。佐藤やしょうがない隊もその話に乗る。
| ひとは | しかし無難とも思えるこの作戦をひとはは断る。「助けはいらない」。
| ひとは | ひとはの手にあるのは500円だけ。それは焼きいもを2個…すなわちおまけがひとつだけもらえるギリギリの金額である。
| ひとは | それを握りしめて、ひとはは吠えた。「本物を手に入れる!!」。その目は完全に「ガチ」だった。
| ひとは・焼きイモ屋 | 戸惑う周囲をよそに、ひとはは焼きイモ屋に臨む。ざわ…ざわ…。
| ひとは・焼きイモ屋 | 二度に渡る対決を経て、ひとはもまたギャンブルの魔力に取り憑かれていたのである。そんなひとはを見て不敵に笑う焼きイモ屋。
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5 |
ひとは | まずは先手必勝。駆け引きは既に始まっているのだ。ひとはは焼きイモ屋の方に歩み寄りながら語った。私は娘さんのことを知っていると。
| 佐藤・千葉 | 娘もガチレンファンであることを匂わせ、ガチレンフィギュアをゲットしようとするひとはに、「ゲスい…ゲスいぞ~~~」。
| 焼きイモ屋 | その言葉がどれほどの揺さぶりになったのかは分からない。しかし口を閉ざした焼きイモ屋の横顔は動揺しているようにも見えた。
| ひとは | 先手は打った。いざ勝負とばかり、焼きイモ屋の手に500円を落とすひとは。
| 焼きイモ屋 | それを受けての焼きイモ屋。フッと笑って表情を崩すと…。
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焼きイモ屋 | おまけだと言って、ひとはに何かを手渡した。それは娘に宛てた手紙だった。
| ひとは | 娘に手紙を渡してくれと頼まれたひとはは、こんな重過ぎるもの託されても困るとばかり、直接渡せと手紙を突っ返す。
| ひとは | 息を荒げながら、早くおまけのおもちゃを寄こせと迫るひとは。
| ひとは | ところが渡されたのは、またしてもパチモンのカチコチレンジャー…。
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佐藤 | 無惨なる敗北。無言で震えるひとはに、佐藤「負けたな」と声を掛ける。
| ひとは | だがひとははまだ諦めてはいなかったのだ。
| ひとは | なぜなら…「私にはまだ仲間がいるッ……!!」。
| ひとは | 佐藤たちからお金を巻き上げるひとは。「さあっ」。
| ひとは | 仲間達の力を結集して、再びひとはの手元には500円が集まった。ギリギリあと勝負1回分の弾である。
| 緒方 | ところがそのお金は佐藤成分を含有していたため、緒方にひったくられてしまう。
| ふたば | ひとはが泣いてるからと、焼きいもを買うように緒方に頼むふたば。
| 緒方 | 泣かれては仕方ない。「焼きいも2個くださいな」、そう言って緒方は焼きイモ屋にお金を差し出すが…。
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緒方 | 「おまけだ」。緒方が焼きイモ屋に渡されたのはおもちゃではなく、先の娘に宛てた手紙だった。
| 焼きイモ屋 | そして緒方の頭に優しく手を置いて、焼きイモ屋は言った。
| | 「愛梨… 大きくなったな…」
| 緒方 | 思いも寄らぬ言葉に、緒方の顔は涙で崩れた。「お父さん…なのっ…?」
| 一同 | ドラマチックな親子再会の場面を目の当たりにして、驚く一同。そして自然と歓声と拍手が上がっていた。
| ひとは | その空気からひとり取り残されてしまったひとは。ガチの勝負は…そしてガチのおもちゃは…?
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