322卵性『悪魔がいけにえ』
あくまがいけにえ

構成いいや 何も ただ驚く顔が見たいのだよ

扉絵暗闇の中、懐中電灯の光で浮かび上がった不気味な陰に驚く伊藤

柱紹介

登場場所

アオリ文

この世で⏎最も恐ろしい⏎とある兄妹のお話…

あらすじ

緒方が秘蔵の佐藤グッズを隠し持っているのではと疑いを抱いた伊藤は、遊びに来たふうを装って緒方家に潜入する。の忘れ物を届けに緒方が外出した隙に部屋を物色し始める伊藤だったが、その部屋は何人たりとも足を踏み入れてはならない、おぞましいグッズの数々が陳列される魔窟であった。

オクリ文

お目覚めは⏎シェービングの香りで。

作者コメント

単行本⑰巻発売中! 三女と咲子の崖コントや眉毛の相かん図ver.2.0など描き下ろしがたくさん!

キャラクター

伊藤詩織(いけにえにされた悪魔とは彼女のこと。首尾良く緒方家に忍び込むがお目当てのものはなく…)
  • 「まさかッ」
  • 「おがちんって…私達も知らない佐藤くんグッズをいろいろ持ってるんじゃないかな…?」
  • 「アップルパイ作りすぎちゃって…一緒に食べない?」
  • ウチ今日 弟の友達がたくさん遊びに来てて… 足の踏み場がないの
  • 「全然だよ~~」
  • ウフフ
  • 「似顔絵がいっぱ… これコピーだ!!」
  • ん!? 今日おがちん服着て… 着てた着てた!!
  • 「ん…? シェービングの匂いが…」
  • 「髪の毛…!! もちろんおがちんの…」
  • 「えっ…なっ…出掛け… えっ」
  • 「早く…早く…帰らなきゃ…」
  • あぁ…隠す気ないんだ…
  • 「気のせいでは」
  • 「なんだか…悪い夢を見てた気がする…」
  • 「いやあああああああ」
緒方一郎太(魔窟の主にして恐怖の根源。外出したかと思いきや突然サプライズ帰宅して、伊藤を怯えさせる)
  • 「じゃ お兄ちゃん行ってくるから」
  • 「おやっ 愛梨のお友達が来てたのか」
  • 「実は愛梨にサプライズを仕掛けようと わざと忘れ物をして外に出したのさ」
  • いいや 何も ただ驚く顔が見たいのだよ
  • 「長年貯めていた愛梨の髪の毛が減っている気がする…(軽くなってる…)」
  • 3762本あるハズだ…数えてみよう
緒方愛梨(流行りの水素水ならぬイ水素水を味わう)
  • 「佐藤くんのイス~♪」
  • 「これを… こうして… こうよ!!」
  • 「ほらっ 最近 水素水流行ってるでしょ だから私も『佐藤くんのイ水素水』始めましたっ(意識高く!!)」
  • 「たくさん貯めてこの夏を乗り切るわ」
  • 「フフ…命の水よ」
  • 毎日別れるたび泣かないで
  • 「詩織んちで食べるわ」
  • 「足の踏み場が!?」
  • 「ちょっと…狭いとこだけど…」
  • 「私の写真!? 要らないでしょっ」
  • 「でも今 友達が… え!? 命の写真!?」
  • 「良かった~ 帰ってきたら詩織腐ってるんだもの」
  • 「詩織ったらすっごい汗かいてたからさ―― 私のお古に着替えさせといたから」
加藤真由美(冒頭の場面のみ登場。緒方のリアクション役)
  • 「盗みはダメだよ」
  • 「水素水 まるで関係ないよ」
  • 「腐らせないようにね……」
  • 「違うからね!? 全然違うから」
  • 「え…まあ…おがちんの発想力は常人のそれじゃないけども…」
  • 「でも私達に内緒にするタイプじゃないよ」
  • 「あ…確かにおがちんの家とか入ったことないかも…」
千葉雄大
  • 「なんだよ ウンコか?」
佐藤信也
  • 「ちげーよ ションベン」

ストーリーライン

1
6-3教室緒方・加藤・伊藤
緒方嬉々として佐藤のイスのゴムキャップを外す緒方。それをおちょこ代わりにぐびっと水を飲み干す。
2
緒方名付けて『佐藤くんのイ水素水』。
すぐに廃れると思うので補足。掲載当時(2016年5月頃)に「水素水が健康によい」と一部で話題になりました。いつもの似非科学的なやつです。
伊藤教室に戻ってくる。経緯を知らない伊藤は、緒方が手にしたペットボトルが何かと尋ねる。
伊藤「命の水」との緒方の返答に首を傾げる。
伊藤ちょうど耳に入ってきた佐藤と千葉の会話から、佐藤くんの聖水(おしっこ)ではないかと驚愕。「まさかッ」。
おがちんなら…と思わせてしまうところがミソ。命の水(生命の源)→「フー」に深読みしてはならない。
加藤慌てて否定する。「違うからね!? 全然違うから」
3
伊藤・加藤緒方をよそにヒソヒソ話を始める。緒方が自分たちの知らない佐藤くんグッズを持っているのではと疑う伊藤。
加藤確かに緒方の発想は常人離れしているとしつつも、伊藤の憶測に対しては否定的。
伊藤なおも懐疑的な伊藤。「緒方の家には入ったことがない」という加藤の言葉に何かを思いつく。
緒方家の前緒方・一郎太・伊藤
緒方・一郎太家を出る一郎太。その目には涙。「毎日別れるたびに泣かないで」
感動の別れに涙する一郎太に対し、冷めた表情の緒方。愛情のベクトルが変わるだけでまるで別人になってしまうのが面白いところ。
一郎太すれ違いざまにパーカーのフードを被った人物とぶつかる。
4
伊藤その怪しげな人物は伊藤であった。手には一郎太からスリ盗った定期入れが。
ナチュラルに犯罪に手を染める伊藤氏。しかも相手は警官というハイリスク。手に巻いたビニール袋は腐敗防止兼指紋付着対策でしょうか。
伊藤何食わぬ顔で緒方家を訪問。緒方は躊躇して伊藤の家に行こうと話すが、伊藤は今日は足の踏み場もないからと断る。
伊藤の弟の存在について言及されるのは、96卵性『あなたの知らない戦い』以来二度目のこと。
アップルパイを作ったというのは、伊藤が17巻のおまけ4コマで自己申告していた「お菓子作りが趣味」という設定の裏付けになりそうです。
緒方しぶしぶ伊藤を家に迎え入れる。「狭いところだけど」と言いながら、ぴしゃっと隣の部屋のふすまを閉める。
5
緒方ちょうど緒方がお茶を出しているところで、黒電話が鳴る。電話を掛けてきたのは一郎太のようだ。
黒電話にブラウン管のテレビ。緒方家は昭和の香り。リビングにあたる部屋は6畳敷きのようです。あとは2部屋+キッチン?
伊藤緒方が相手をしている隙に、テーブルに先ほど盗んだ定期入れを置く。忘れ物と思わせて、緒方を外に誘導する仕込みだったのだ。
伊藤ところが一郎太が忘れたというのは緒方の写真だという。せっかくの仕込みの狙いが外れて肩を落とす伊藤。
緒方ともあれ緒方は写真を届けに外へ向かう。結果オーライで伊藤は笑顔。
伊藤誰もいなくなった部屋でひとり微笑む伊藤。「ウフフ」。
6
伊藤禁断の部屋の扉を開ける。めくるめくお宝部屋のハズがなぜかおどろおどろしい雰囲気…。
伊藤部屋の中を物色する伊藤。しかし部屋にあったのは、壁一面「おにいちゃん」の似顔絵や緒方が写った写真、履き古しの靴下。
伊藤ハンガーに架かった緒方の一張羅のジャンスカを見つけて、「裸で出て行った!?」と一瞬焦る伊藤。んなわけない。
このセルフツッコミが愉快。あり得ないこととは言え一瞬でも疑いを抱いてしまうのは、普段からのノーパンライフゆえか。
7
伊藤そのお古のジャンスカから漂うシェービングの匂いから、真相…すなわち一郎太が頬をすり寄せていることに思い至りゾッとする。
伊藤そろそろこの部屋の真実に気付いて怯えながらも、なおも一縷の望みを掛けて佐藤グッズを探す。
伊藤しかし見つけたのは、箱に貯め込まれた緒方の髪の毛、緒方の声の録音テープ、そして緒方の髪を植毛されたぬいぐるみ…。
8
伊藤あまりのおぞましさで顔が引きつっていたところに追い打ちを掛けるように、突如ガラッと玄関が開く音が。
一郎太外出したはずの一郎太がなぜか戻ってきた。
一郎太緒方へのサプライズのためにわざと忘れ物をしたと話す。しかも誕生日でも何でもなく、ただ驚かせたいだけだという。
伊藤ドクンドクンと激しく胸を動悸させる伊藤。シスコン兄貴のヤバさに動揺を隠せない。「早く…早く帰らなきゃ…」
一郎太伊藤の存在に構わず、部屋の飾り付けを始める。流れるBGM=緒方の声。「あぁ…隠す気ないんだ…
真性の真性たる由縁を見せつけられて、普段はストーカーの一味として鳴らす伊藤もドン引き&たじたじ。
9
一郎太貯め込んでいた緒方の髪の毛が減っていることに気付く。普通気付かない。しかも本数を覚えていて数え始める。
伊藤一郎太のガチっぷりに青ざめていた伊藤。とはいえ自分の犯行だとバレては困る。一郎太に声を掛けて留めようとするが…。
一郎太伊藤の手のひらに付着した髪の毛に気付いて、その手をギュッと握りしめる。
10
伊藤佐藤以外の男成分はしょうがない隊にとっては猛毒。たちどころに真っ白に腐敗して、伊藤は意識を失う。
伊藤再び気が付くと、自分を見つめる緒方の顔があった。
緒方帰ってきたら腐って倒れていた伊藤を見つけて、看病してくれていたらしい。
伊藤悪い夢を見ていた気がするとつぶやく伊藤。すべては悪夢だったのか…。
緒方さらに緒方は、汗まみれだった伊藤を着替えさせたという。
伊藤自分が身につけている服…それがあのシェービングの匂いが染みこんだお古のジャンスカだと気付く。
伊藤悲痛な絶叫が緒方家に響き渡る。「いやああああああ」

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