2017年のみつどもえを振り返る
2018年01月08日
2013年から続けてきた(まだ4回だけど)この企画も残念ながら今回で最後となります。みつどもえの連載が終わったのも、もう遠い昔の出来事のよう……まさしく歳月流るる如し。
これまでは年間ベスト5のエピソードを選出してまいりましたが、今回は話数も少ないので全話に関してちょっとしたレビュー的なものをしたためてみたいと思います。その中でベスト3の選出エピソードについて触れることにいたします。

 335卵性『手品先生』
てってれー。矢部っちの引っ越し話。ひとはのイタズラっ子魂が裏目に出て、生命の危機(窒息・刺殺)に見舞われる。危うく矢部っちの部屋に新たな事故物件歴を刻むところでした。三つ子が揃って矢部っちに絡むという点では、初期のみつどもえを想起させるものがありました。段ボールから飛び出してきた下半身パンいち女児の件はどう処理されたのかが気になる…。矢部ひと的にはご両親にご挨拶イベントということになるのでしょう。新年からめでたい。
 336卵性『姉弟船』
佐藤家の姉弟ゲンカに端を発するアレコレ。個人的に嬉しいエリツィン話。まさのぶパパの家庭での立場が垣間見えたエピソードでもありました。パパって哀しいね…。おがちんって変態である点を除けば、ホントいい子ですよね。友達(マゾメ)のために憤って行動に移すあたり、心根に正義感が根付いている感じがします。さすが警官の兄を持つだけのことはある。血は争えませんな。い、いや……兄も父もあんなんですけど…。
 337卵性『BOMB BOMB PARTS』
科捜研な真由美ちゃんが可愛いお話。しょうがない隊の役回りとしてはいつも通りですね。真っ直ぐに変態道を突き進むおがちん(体液ってやっぱりにょ……だったのね…)、いち早く抜け駆けを試みる詩織、ふたりの間で現実路線に戻したい真由美。コミックスでは「特にありません」なんて書かれた真由美ちゃんですが、個人的には当初から大変気になっていた存在です。良い子すぎて濃いキャラ揃いのみつどもえの中では影が薄いかも知れませんが、応援してあげたいという意味では彼女が一番でしたね。そしてとてつもないエロさを秘めているのが彼女だと思う…5年後くらいが楽しみ。あと今さら気付いたんですけど、連載時とコミックスでタイトル変わってるじゃないの…! 「PART」→「PARTS」になってました。確かにフリガナは「パーツ」ですしね。ついでに元ネタもわかんないっス。
 338卵性『ようこそ、棲家へ』
安定の松×ひとエピソード。松岡さん図太い。ひとはが矢部母に霊扱いされていたというのは虚を突かれました。そうと分かった上で読み返せば態度があからさまなんですけどね~。そして矢部っちは出てこないのに、矢部ひと的には見逃せないエピソードですね。”なわばり”で安息するひとはの馴染み具合よ。なんでチョコを椅子の下に隠したのかは謎。我々には窺い知れない乙女心…?
 339卵性『地獄の目論見』
修学旅行編のスタート。班分け…ううっ、このフレーズ、なぜか心がシクシクする。ひとはにとっても簡単なイベントではなく、不用意な発言が元でさっちゃんを泣かせてしまいます。これは親しいが故の甘えのせいでもあったんですよね。それなりに気を遣う相手なら、うっかりでもああした言葉は出てこなかったはず。遠慮の無い関係だからこそ、相手を傷つけてしまうこともある。これまで人を泣かせたことなんてなかっただろうひとはにとって、相当衝撃的な出来事だったはず。狼狽と悔恨。もう「あああぁ…」しか言えませんよね。そのあと遠回しながら「ごめん」と言えたひとは。ひとはのように些細な見栄を張るタイプの人間にとって、そのひと言を伝えるのにどれほどの勇気が必要だったことでしょう。ひとはの人間的な成長にも繋がる出来事だったと思います。ふたりの奇妙な友情に幸あれ。この話を個人的年間ベストエピソードの3位とさせていただきます。
 340卵性『ブラックボックスダウン』
詩織様の詰めの甘さが露呈したこのエピソード。自分が佐藤以外の男子から好意を向けられるという可能性に思いが至らなかったのが敗因。なにせあのルックスですから、しょうがない隊という実情を知らない他の男子がいれば告白されても不思議ではないですよね。詩織様の将来は前途多難。あと金魚を出産した時(283卵性)もそうでしたが、紛う事なき美少女が吐きそうになってるというシチュエーションにおかしな性癖が目覚めそうでした。なんとか踏みとどまったけど。
 341卵性『プライベート・咲子』
班分けの時の涙はどこへやら。修学旅行でも咲子はフリーダムすぎでした。森の中で迷っても慌てずキャンプを張って落ち着くその姿からは、着実に丸大ハム的な成長を遂げていることが感じられます。決して親御さんは望んでなかったでしょうけど…。あとおっぱい保健医が久々に台詞付きで登場。とうとう最後まで栗山っちの復権はなりませんでしたねぇ。そりゃ生徒からも扱い方を忘れ掛けられるわ。
 342卵性『S・ボート』
「念願の風呂だーーーッ」。冒頭の千葉氏の台詞は読者の声でもあります。修学旅行と言えばお風呂! 期待通りの肌色過多(男子含む)なエピソードが到来です。オールカラーじゃないのが実に惜しまれる。まあその分は19巻の巻頭カラーで補完するということで。吉岡さんは性的すぎるということを再認識いたしました。まさに永久保存版。内容的には次のエピソードへの繋ぎという感じでしたね。深く考えずにサービス回を楽しんでくださいってことでしょう。反対側のお風呂の様子も見てみたかったですね。
 343卵性『佐藤は戦場へ行った』
三十路(女子)も参戦した眉毛氏主催の告白大会。結果はともかく自分の気持ちを伝えられたおがちんと、念願のお姫様役が回ってきたのにあくまでおがちん第一な真由美ちゃんは、それなりに本望を果たしたといったところでしょう。一方で年齢の壁の前に敢えなく玉砕した三十路さんと、人知れず身も心も腐り果てていった詩織様は哀れな負け犬。なんとなくこの二人、似た者同士なのかもしれないとか思いました。ふたばの心境の変化にも注目ですね。やっぱ幼馴染みはこうやって焚きつけてやらないとね(要かませ犬)。他にも様々なカップリングを楽しめる一話でした。この話が個人的年間ベストエピソードの2位かな。
 344卵性『三百八高地』
修学旅行編の最終話は、ひとりグループから離れた宮下のKYっぷりが存分に発揮され…たのですが、それ以上に詩織様の存在感が圧倒的でした。茫然自失としてうめき声以外ひと言も発さないにもか関わらず、絶対に何かをやってくれるぞという期待感しかありませんでした。果たしてどこまでが素でどこまでが演技だったのか…それすらも不確かにして見せるのが、腹黒たる由縁。腹黒と書いてブラックボックスと読む。そして心身共に腐り果ててなお、むしろその状況すらも利用してただひたすらに獲物を狙い続けた執念は、ついに「実」を得るに至りました。まさかの詩織勝利END。名よりも実利を取る。これでこそ詩織様です。文字通りしんちゃんの精も根も吸い尽くして、鮮やかに復活された詩織様の言葉がすべてを表しています。「終わり良ければ全て良しだねっ」。しおりストとしてはもちろん、この話が年間ベストエピソードの1位でございます。言うまでも無し。
 345卵性『君のナマ』
ナマコちゃんを巡る吉岡家のすれ違いに決着。吉岡夫妻の対照的な様子が娘のいない間に何が行われていたのかを物語る。吉岡さんから滲み出るエロさはやはり母親譲りということなのでしょう。ようやくカミングアウト出来てめでたしめでたし…のはずが、純情だったパパまでエロサイドに陥落して完全にひわい一家になってしまった吉岡家。まあなるべくしてなったということなのでしょう。出来れば母娘をモデルとしたひわい小説を希望。
 346卵性『私たちがやりました』
のりお先生が「長年やりたかったこと」と仰っていたこのエピソード。しかし連載終了の報せのあとに読んだこともあって、個人的にはあまり楽しめなかったというのが正直なところです。みつどもえ時空をもたらす特異点…というメタ的なネタも含んでいるせいか、展開にちょっと無理がある気がしないでもない。むしろ本編よりコミックスのおまけ4コマの方がお気に入り。オイルショック時代の海江田ちゃんが可愛すぎる件について。なぜこうなった…。
 347卵性『笑顔NOヌード』
ひとはの笑顔をお披露目するためのお話。ぶっちゃければそれだけのエピソードなのですが、ひとはと各々のキャラとの絡ませ方は、これまでの積み重ねの集大成といった体になっております。だんだん疑心暗鬼になっていくひとは。恨みを買っている(かもしれない)という自覚があったのねw そして最後にひとはに笑顔をもたらしたのは矢部っち。これが意味することは…!? まあ深い意味はないでしょう。たぶん。
 348卵性『モロッロ!』
ついに迎えた最終話……の割に、もうホント、内容的にはどーでもいい感じの話でした。でもこういう終わり方でむしろ良かったです。これがきれいに話を締めくくって、謎やらもかんやらも全部明かされて大団円…ともなれば、逆に希望もありませんでしたからね。敢えてそういう終わり方をしてくれたのだと思いたいです。すごく傲慢な言い方をさせていただきますが、最後の2ヶ月ぶんのエピソードは『みつどもえ』という素晴らしい作品の終わりを飾るには、あまりにも物足りないものでした。あの『みつどもえ』はこんな終わり方をしちゃいけない、もっとそれに相応しいエピソードで締めくくられるべきだ。そんなふうにも思いました。

実のところ、連載が終わってからというもの私が『みつどもえ』のコミックスを開くこともほとんどなくなっておりました。それは飽きたとか嫌いになったからではなく、以前にもお伝えした通り「もう想い出になったから」です。でも今回この記事を書くためにコミックスを読み返して、やはりまだまだ語りたいことも語るべきこともあるのだと感じました。
相変わらず筆を取る手は重くブログの方は当面はこんな開店休業状態のままだと思いますが、どこかで更新も再開できたら……いえ何ひとつ確約は出来ませんが……しなくちゃなあとは思ってます。心の片隅で。ええ。そして「今年はいろいろある」というのりお先生の御言葉にささやかな期待を込めつつ…。

コメント

zenit 2018年01月08日 21:14

更新待ってました!
第1位はさすが詩織王国民であるみつたまさんらしいチョイス!あの場で一体何があったのかは薄い本案件でしょうけれど。ふたばが本気で怒れば詩織様とて無傷では済まされますまい。うかうかと手助けをさせられてしまった宮下さんの不甲斐なさよ。やはりあの場には吉岡さんが必要だったのです。そうすればしんちゃんの純潔は・・・

>最後の2ヶ月ぶんのエピソードは『みつどもえ』という素晴らしい作品の終わりを飾るには、あまりにも物足りないもの
同感です。結局終わっていないと考えるべきなのでしょう。完結させて区切りを付けるべき性格の作品でもないと思うので、またいつでも帰ってこれるようにしてあるのだと思うようにしたいです。現実世界の様々なイベント事もみつどもえとリンクしていてこそのものですし。

>紛う事なき美少女が吐きそうになってるというシチュエーションにおかしな性癖が目覚めそう
自らに枷をかけてしまう事はありません。さあ覚醒なさい。嘔吐はみつどもえのある意味象徴的な現象ですらあるのですから(キラキラした液体を口から垂らしながら)

>とうとう最後まで栗山っちの復権はなりませんでしたねぇ。そりゃ生徒からも扱い方を忘れ掛けられるわ
そこが栗山っちの愛おしいところでもありますよね。モブ本でもモブに堕ちて頂きましたが、がっつり乗って下さったのがみつたまさんでしたね。海江田先生との絡みとか色々あり得たと思うので、是非色々妄想していきたいものです。

>出来れば母娘をモデルとしたひわい小説を希望
娘と同級生の割とボーイッシュで高身長な親友との過ち的な話も悪くないと思うぞっ☆

>もっとそれに相応しいエピソードで締めくくられるべきだ
多分そのエピソードは「みつどもえ道(仮題)」とか「毎度!みつどもえ(仮)」とかの1000卵性くらいじゃないかと思います。


みつたま 2018年01月09日 00:48

>zenitさん
いくらやっつけ記事とは言え、一度習慣として失われてしまったものを取り戻すのはなかなかしんどい…。

>あの場で一体何があったのかは薄い本案件でしょうけれど。
薄い本と言わず分厚い本でも…!
しんちゃんの悲鳴の裏で、言葉では言い尽くせないほどそれはもう凄惨な光景が繰り広げられていたのでしょう。

>ふたばが本気で怒れば詩織様とて無傷では済まされますまい。
ふたばちゃんも混じればいいのよ。そしたらみんなハッピー。
詩織様の独占欲はそれを許さないか……いや、あるいは既に一線を越えた者の心の余裕があるかも…。

>うかうかと手助けをさせられてしまった宮下さんの不甲斐なさよ。
あのおっきい人もたまには役に立つわね♥

>現実世界の様々なイベント事もみつどもえとリンクしていてこそのものですし。
既に我々にとってみつどもえとは虚構と現実の壁をも越えた存在ということですね。
ハロウィンもクリスマスもバレンタインも、みつどもえがないと縁遠いもの…やはりこの世界にみつどもえは必要ですよねっ。

>嘔吐はみつどもえのある意味象徴的な現象ですらあるのですから
作品のヒロインになるためには避けては通れない道なのよ! それにしても詩織様がこれほど汚れ役が似合う御方だとは…。

>モブ本でもモブに堕ちて頂きましたが
ただのおっぱい保健医で終わらせるのは可哀想な気もいたします。もうちょっと突っ込んだ話にすればよかったかなぁ。

>娘と同級生の割とボーイッシュで高身長な親友との過ち的な話も悪くないと思うぞっ☆
相方にもうちょっと女子力がほしいところです(課題)。

>「みつどもえ道(仮題)」とか「毎度!みつどもえ(仮)」とかの1000卵性くらいじゃないかと思います。
本当にそうあって欲しい思います。私の寿命が尽きるのが先か、みつどもえが終わるのが先か。
そんな心配をしながら過ごす余生でありたかった。








tara 2018年01月14日 18:08

自分もベストエピソードようやく選べました(^^;)
早速リンク追加して頂きましてありがとうございます♪

>段ボールから飛び出してきた下半身パンいち女児の件
335卵性と338卵性の間に何があったのか…
出禁になってるわけではないようなので、単純にひとはの側が恥ずかしいだけなのかなという希望的観測(^^)

>科捜研な真由美ちゃん
おがちんのツボを心得ているw
珍しくおがちんの努力が報われてる話ですし、この回も5選に入れるか悩みました。
サブタイの元ネタは「ロンドンハーツ」だったり…?

>遠回しながら「ごめん」と言えたひとは
謝る勇気を出すことができたのも素晴らしいですし、さっちゃんの関係を修復したいとひとはが心底願ったからこその行動ですよね。しみじみ…(^^)

>ふたばの心境の変化
この後ほとんど絡みが無かったので、ふたしんのその後はひとまず読者の想像の中に…ということですね。妄想はかどります(^^)

>まさかの詩織勝利END
本当にまさかの大逆転勝利でした(^^;)
どん底からヘヴンまで…まさに修学旅行編の主役でしたね~

>連載終了の報せのあとに読んだこともあって
この点は自分も同じくです。
何とか気持ちを切り替えて楽しもうと心掛けはしたものの、やはり心のざわつきは抑えられませんでしたね;;

>最後にひとはに笑顔をもたらしたのは
のりお先生から矢部ひと派に贈られた、何よりも雄弁なメッセージだと感じました(^^)

>敢えてそういう終わり方を
「みつごは続くよどこまでも」的な…
飽くまで「一旦」おしまいですので、アニメの続編決定を待つ感覚で“その時”を待ちます(^^)


みつたま 2018年01月15日 13:34

>taraさん
とりあえず恒例行事として最後まで続けられてよかったです。

>単純にひとはの側が恥ずかしいだけなのかなという希望的観測(^^)
あんな事があってもめげずに矢部っちの部屋を訪れようとあれこれ画策するあたり、その愛は本物ですね…!
え、チクビ愛ですよね…?

>珍しくおがちんの努力が報われてる話ですし
努力が無駄な方向にいかないように頑張った真由美ちゃんも褒めてあげたい。
詩織様はいつも通りなのであれでいいです。

>サブタイの元ネタは「ロンドンハーツ」だったり…?
語感は近しいですね! よく分からない元ネタが来るとグーグル先生を頼りに色々検索してみたりもするのですが、
これに関してはどうにも決め手に欠くというか…。

>さっちゃんの関係を修復したいとひとはが心底願ったからこその行動ですよね
それこそ最初の頃のひとはなら、面倒だからいいやって逃げていたかもしれませんね~。

>ふたしんのその後はひとまず読者の想像の中に…ということですね。
翌日廃人と化した彼の姿を見て何を思うのかふたば。ああ、そうか。逆に精気を吹き込む的な…(婉曲的表現)。

>まさに修学旅行編の主役でしたね~
詩織王国民目線で見ると、修学旅行編は完全に詩織様顛末記でした。概ねひとは・松岡・しょうがない隊が中心でしたね。
この重大なイベントの中で、基本的には脇役のはずのしょうがない隊がフォーカスされたのは嬉しかったです。

>やはり心のざわつきは抑えられませんでしたね;;
ですよねぇ。ある意味不幸なエピソードになってしまった。時間を置いて読めば(あるいは何か状況が変われば)
純粋に楽しめるのかもしれませんね。

>アニメの続編決定を待つ感覚で“その時”を待ちます(^^)
みっちゃんがダイエットに成功していたりするかもしれないくらいの期待度で待つことにいたします…!
それはそれで見てみたい。


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